神宮の杜に程近い閑静な街中に立つ「国立能楽堂」。
今日は、高校2年生男女合同で貸し切り公演という贅沢な企画でした。
いつ来ても正面玄関を入ってすぐ目に飛び込んでくる苔むした中庭は、これからいざなわれる古典世界への扉として落ち着いたたたずまいを見せています。
さて、本日の演目は・・・
まず狂言の方が、
『寝音曲』(ねおんぎょく)
謡を謡うように言いつけられた太郎冠者は、もったいぶって酒を所望、さらには膝枕まで求めますが、酔いも手伝って結局は調子に乗って舞うは唄うは・・・。
太郎冠者のしたたかさゆえのおかしみと、主人もまた「してやったり」と、双方ハッピーエンド。めでたし、めでたし。
場内、ところどころできちんと「笑い」あり。
そして、いよいよ能。
『舟弁慶』(ふなべんけい)
西国へ落ち延びようとする「義経」と、そのあとを慕い追ってきた「静御前」との哀愁ただよう別れの前場では、場内にわかに水を打ったように「静か」でした。(笑)
つづく平知盛の亡霊との闘いの後場では、場内みな睡魔との闘いから覚め、固唾をのんで小学3年生の子方、義経の演技に見入っておりました。
ところで、この贅沢な企画が成立をみたのも、ひとえに本校卒業生、金春流能楽師、高橋忍さんのお力添えあったればのことでした。
ありがたし、ありがたし。
本日、終演後の「附祝言」(つけしゅうげん)はあの「高砂」から。
めでたし、めでたし。
その帰途、立ち寄ったすぐお隣に広がる都会のオアシス、新宿御苑では、紅梅がポツリポツリと寒空のもとでほころび始めていました。