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「舞台裏で」:女子部中学1年〈学年だより・作文大賞特別号 9/15発刊〉より.

投稿日2012/9/12

女子部中学1年生の「作文」の授業から。
それぞれの「(生活)体験」を原稿用紙2枚に綴りました。
次にあげるは、『学年だより』にて「最優秀」となった作品、「舞台裏で」の全文です。
 
「素敵なお手本(先生)」のもとにはおのずと「素敵な生徒」が集うもののようです。
 
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 私には、心から尊敬できる人がいる。それは、単なる「あこがれ」というものではなく、「尊敬」の気持ちである。あるちょっとした出来事が、私の人生のお手本を与えてくれたのだ。
 それは、バレエの発表会の舞台裏での、ほんの小さな出来事だった。その日の主役は、若い女性の先生で、私を含む生徒の中の四人が、たまたま同じ場面で登場する役だった。
 もう数分で幕が上がる、という緊張感が張り詰める中、私はひたすら心を落ち着かせていた。その静かな舞台裏で、カツンカツンという、トゥシューズの音が響いていた。その音は、すぐに、私の目の前で響く音となった。舞台の床しか映していなかった私の目に、美しい主役の衣装が飛び込んできた。まさか、と思った。ふわんと、優しく柔らかい香りがした。無意識に顔を上げると、そこには、いつも通りとても綺麗な先生が立っていた。瞬間、先生は少ししゃがんで私と目線をそろえ、ささやくようにこう言った。
「よろしくね。」
私は本当に驚いてしまった。それでも、精一杯、頭を下げて、
「こちらこそっ・・・・・・」
と返した。先生は小さく微笑み、舞台の中央へ走った。あのさりげない言葉の優しい響きが、私は今も忘れられない。
 同じ舞台に立つ私たちに、自分の生徒であるにもかかわらず、「よろしく」と声をかけてくれた。真の実力を持っていながら、常に謙虚な気持ちを忘れず、ピリピリしたプライドを持たない品のよさが、本当に素敵だと思った。そして、真の優しさと美しさを持っている人だと感じた。私もいつの日か、この先生のような、魅力的な人になりたい。身近なところに素敵な手本があることは、私にとって誇りであり、大きな心の支えである。

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