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「自然体験」は、「感動体験」なり。.

投稿日2012/8/20


今日は、「中学全学年登校日」
猛暑続きの夏休みだからでしょうか、例年以上に日焼けした顔が並んでいたような気がします。とはいえ、課題の進捗状況などを確認する段に至ってはその表情も一転して青ざめてしまう者も・・・。(笑)
 
ところで、この夏休み明けと同時に北海道での「自然体験教室」に出かける中学3年生が、その行事の意義についてあらためて本校学事顧問川福基之先生よりお話を頂戴する機会をもちました。
 
1年時の「高遠」、2年時の「尾瀬・奥日光」。
「自然体験教室」もいよいよその舞台を北の大地、北海道に移して集大成を迎えます。
それまで関西方面での「修学旅行」として実施してしてきた3年生の宿泊行事が、現在のように北海道での「農業&自然体験」の形に姿を変えて今年で9年目。
その変遷の陰にはどのような思いが込められていたのでしょうか。
 
 
  「自然体験教室」は「感動体験教室」なり
   ~中学3年自然体験教室の意義について~
                                 学事顧問 川福基之先生
 
◇好ましい「久我山」の生徒の再生の場として
 
さまざまな学校行事のなかで、とりわけ宿泊を伴うものは、私学としての建学の精神を具現化する行事といえましょう。言い換えれば、そうした行事こそが好ましい久我山の生徒の姿を再生する場なのです。
そうした行事を通じて身につけて欲しいことは次の三点に集約されます。
 ① 基本的な生活習慣を身につける
 ② たくましく生きる能力を身につける
 ③ 社会性を身につける
カントは「よりよい習慣だけが善である」と言っています。つまりはよい習慣こそがよい人格を育むことにつながるのでしょう。また、人はいかなる時代にあっても生きぬくために、頑強な身体はもちろん、強固な意志、豊かな知識を有するとともに、技術もまた身につける必要があります。そして、一人では生きていくことができない世の中にあって、社会性を身につけるとは、ひとえに「一人前」の人間になることを意味します。30,40になっても「一人前」とはよべぬ大人たちもたくさんいます。「一人前」とは、集団への配慮を欠かぬ人であるかどうかにかかっています。私たちはだれしも自由と権利をもっています。しかしそれらが野放図に行使されるとき身勝手や我が儘に堕してしまうのです。人として「一人前」になるとは、そうした自由や権利に溺れることなく自己抑制の能力を磨くことでもあるのです。
 
◇ 生きるための10項目について 
世界が少年少女たちに共通して求める生きるための10項目を紹介しておきます。
 ① 大勢で寝ることが出来ること
 ② 決まった時間に起きること
 ③ 整理整頓や掃除など基本的な労働をこなすこと
 ④ 挨拶ができること
 ⑤ 暑さ寒さに耐えること
 ⑥ 重いものを持って長時間歩くことができること
 ⑦ 食べ物の好き嫌いをなくすこと
 ⑧ ロープワークを身につけること
 ⑨ 穴を掘る技術を身につけること
 ⑩ どこにでも寝ることができること
 
◇ 自然は感動を与える
ところで、この夏のオリンピックや現在もつづく甲子園の高校野球など、私たちはそれらからたくさんの感動をもらっています。と同時に大自然の諸相もまた人に大きな感動を与えるものです。そもそも人が感動を求めるのは生きる喜びを得んが為であって、そうした感動を通じての自然に対する興味関心というものは、日々の生きる意欲に繋がっているのだと思います。
そう考えれば、自然体験とは、感動体験にほかならないのです。
  
◇ なにゆえ北海道滝川市なのか
平成15年からはじめられたこの中学3年自然体験教室ですが、その実現は、ほかならぬ滝川市にある國學院大學北海道短期大学部の存在なくしては語れません。短大が関係6市町村をまとめ上げてくれた御陰で、地元の方々も温かく全面的に協力をしてくださっています。
加えて、所縁の文人、国木田独歩の存在も忘れることはできません。「山林に自由存す」の言葉の通り、自然とのかかわりのなかで人生を見つめた『武蔵野』の著者独歩がこの北の大地を訪れたのは明治28年の9月、25歳のときでした。開拓への強い志を抱いた青年の姿を『空知川の岸辺』に見出すことも出来ます。ちなみに「(中)空知」とはアイヌ語で「滝のある(断続する)川」と言う意味で、まさに「滝川」の名はそこから付けられたものと言われています。
そして、もう一人昭和の初め伝統俳句の隆盛にあって前衛的な新興俳句運動の担い手であった日野草城も見逃せません。「春の夜の我を喜び歩きけり」からはいかなる時代にあっても自己を肯定しポジティヴに生きることを求めてやまない姿勢をうかがい知ることが出来ます。また、40歳ぐらいのころ、8月15日にあてて「さざんかやいくさに敗れたる国の」とあえて切って余韻を残した作からは、戦争によって失われた志への執念を感じとることが出来ます。そんな青春の気概を吟じた草城の作品が北海道の人々の心の琴線にふれ、同人誌『アカシア』といった形となって昇華していったのです。
 
◇ アイヌ文化にふれる機会として
また、北海道に行くからにはアイヌの文化にもふれてきたいものです。「アイヌ」とは「人間」そのものをさす言葉であり、その文化の源には常に自然との共生がありました。その言い古された感のある共生を実現するには、われわれ人間の自然に対する感謝の念が不可欠であることは言わずもがなのことです。
 
以上、この行事の初心に還って思うところをお話いたしました。

  

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