〜写真はすべて矢野謙次選手ご本人からご提供いただきました(10/12)〜
昨日の札幌ドーム、北海道日本ハムファイターズと千葉ロッテマリーンズとの24回戦。
その試合後には、16年間のプロ野球選手生活にピリオドを打つことを決めた矢野 謙次 選手〔国学院久我山高-国学院大-読売(ドラフト6位・03~15途中)-北海道日本ハム(15途中~)〕のセレモニーが球場に駆けつけた多くのファンの見守る中で行われました。
それに先立ち球団事務所にて開かれた「会見」での一問一答から…
● 代打としての心得は?
… ヒットを重ねることでしかプロでやってこれなかったので、
その「一打席」で「結果」を出すことがすべてでした。
● 信念は?
… 誰よりも努力をすること。
ひたむきに野球に取り組むこと。
決して自分に嘘をつくことなく自身と向き合うこと。
(そうした姿勢で)練習に取り組むこと。
● 今、「自分」に声をかけるとしたら?
… 融通をきかせればよかったなと思います。
そうした頑固なところがあるので…
「もっと対応力を身につけましょう」と。(笑)
● 16年間で得たものは?
… この16年間で得た宝物は、なんといっても「仲間」がたくさんできたことです。
こうして臨んだラストゲーム。
2球団を渡り歩いた16年間、一度もレギュラーをとることができなかった「代打」の切り札は、この日も先発を考えた監督にあえて「代打」での起用を申し出たそうです。そして、その最終「一打席」。粘りに粘って三遊間を抜けるヒットを放ち、しっかり「結果」を出して勝負強さを示しました。
その後に行われたセレモニーのスポットライトの中、高校時代の先輩にあたる相手チーム、マリーンズの井口資仁監督からも花束が贈呈されるというサプライズには、さすがに本人も驚きを隠せない様子でした。
そうしていよいよ、マイクを手にした矢野選手がファンに直接挨拶の言葉を述べ始めます。
その終盤、スピーチ中、唯一思わず声を詰まらせる一幕がありました。
それは、國學院大學時代の恩師である、竹田利秋先生(現國學院大學野球部総監督・本校野球部アドバイザー)への思いにふれた場面でした。
「…私に、野球の取り組み方、考え方を徹底して教え込んでくださり、
プロに進んでからも、常に見守ってくださりアドバイスをくれて
正しい道を示し、私を導いてくださいました。
竹田監督に出逢っていなければ、
私は今この場に立ってはおりません。
この場をお借りして、心から御礼申し上げます。
今までご指導いただき本当にありがとうございました。…」
「正しい道」とは、おそらく
「野球道」であるとともに、
すべてのわたくしたちにも通じるところの
「人としてあらまほしき道」であろうかと思われます。
そのことをさらに確信したのは、そのスピーチの結び近くになって
あらためてクライマックスシリーズに向かうチームへの声援をお願いした上で…
「…また、宮崎で鍛錬に励む
ファームの選手たちへの応援も
重ねてよろしくお願いします!」
と続けた場面でした。
これまでに、こうした名だたる選手たちの引退セレモニーを見守ってきましたが、
目下のところレギュラーではなく苦労している選手たちへの思いを率直に語った
スピーチは記憶の限り耳にしたことはありませんでした。
矢野君のこれからの人生にさらに幸多かれと祈ります。
お疲れ様でした。