あらたしき年の初めのこのひと月、玄関先で多くの来客を迎え入れてきました。
常緑の松に鮮やかな千両の赤い実が包まれ、さらに開運をもたらすように純白の百合つぼみが身を寄せています。
この取り合わせのおめでたさのみならず、縦横に厚みと深みの豊かな造形の美に、思わず足を止めて見入ってしまいました。
これはほかならぬ、女子部特別講座や華道部にて長きにわたりご指導してくださっている師範の先生による作品です。
ところで・・・
ひときわ背伸びするようにした枝先で、あたかも巫女が持つ神楽鈴のような実がたくさん成っていますが、皆さんはこれが何の実だかおわかりになるでしょうか?
花にとてもくわしいT先生(理科)もさすがに思案顔。
さっそく師範の先生に訊ねてみるに・・・
なんと、五月の初旬頃、円錐形した薄紫の花をつけるあの「桐」の実であるとのこと。
花にばかり目がいって、そのフェルトに包まれたような神秘的な実にまでは思いが至らず、まだまだ知らない世界というものはたくさんあるものです。
この桐ですが・・・
その生長が早いことから、かつては女の子が生まれると、庭に植え、その後いよいよお嫁入りとなった段には箪笥などにして持たせたという「親心」の象徴でもありました。
時代は変われど、親の子を思う情は変わらぬもの。
女子生徒のみなさん!
心配かけて、胸が「キリキリ」するような親不孝なことをしてはなりませんぞ!(笑)