誰がこんな幕切れを予想したであろうか。
延長後半、アディショナルタイム。
ラストワンプレーのコーナーキックでそれはおこった。
前後半、そして延長に入ってからも互いに譲らね展開で一進一退の攻防戦。
ゴールネットが揺れたのは、100分後のこの瞬間が最初で最後だった。
そして迎えた試合終了を告げるホイッスル。
多くの選手がグランドに倒れこむ中、どっしりと構えてしばし動かぬ選手がいた。
彼こそ、ずっとこのチームのゴールを守り続け、牽引もしてきたキャプテンだった。
奇しくも、その直後、同じ場所で、これまた「全国」の切符がかかったバスケット部までもが、同じ相手校に辛酸を嘗めることとなった。
今ここで、両チームの選手と部員らに何をどう言おうと慰めにもならない。
勝負とはこういうものなのだ。
敗者は、ただただその現実と悔しさをかみしめつつ、ひたすら耐えねばならない。
しかし、その経験こそが、実はその後の人生において、何よりの財産となることを、多くの先輩たちは身をもって知っている。
だから、人生、耐えねばならぬ時もある、と。