ライトアップされたモニュメント 「天 球」 画家 前島隆宇先生作 理科会館前にて
第2学期の終業は、同時に一年のしめくくりでもあります。
一年の「計」が元旦にあるのならば、一年の「省」はこの年末にあります。
節目の時にきちんとふりかえりを行なうことは、来るべき新たな年のよりよいスタートに繋がります。
その際、できれば、自分自身の身近な領域だけにとどまらず、世の中にも視野を広げつつ社会との関係性の中で自分という存在を見つめ直すようにしたいものです。
他者こそが自分を映し出すなによりの鏡なのですから。
以下、女子部長T先生の講話から
「・・・今年一年いろいろなことがありましたが、先日気になった新聞記事に『2023年 宇宙の旅』というものがありました。それによると、近々一人あたり1400万円で宇宙旅行が可能になるとのこと。
私などの世代でその記事のタイトルから思い起こすのはなんといっても『2001年 宇宙の旅』(1968年)という映画でありましょう。ちょうど、その翌年の69年というのは人類が月に初めて降り立った記念すべき年でもありました。
この作品の中にとても印象深いシーンがあります。
それは、400万年前の人類の祖先が水飲み場で争う場面に始まり、しだいに動物の骨を『道具』として操り、猿人から徐々に人間へ進化していく様子が描かれていきます。
そして、いよいよその骨を空に向かって大きく投げ出したかと思いきや、一気に時が進み、スクリーン上には地球の軌道を回る宇宙船の姿が浮かび上がるのです。
このシーンは、紛れもなく人類の着実な進化のありようを物語っています。
こうして技術的にいろいろなことができるようになったことで、今後人類にとってできないことは一切なくなると考えていいのでしょうか?
「Singularity(特異点)」と呼ばれる「2045年問題」があります。
その年には、とうとう人工知能が人間の知能をこえると言われています。
もし、地球の未来のためを思ってその人工知能に「平和」をインプットしたらどうなるでしょうか。
恐ろしいことに、人工知能は、争いばかりしてその「平和」を脅かす人類そのものを地球から追放するかもしれません。
ならば、私たちは今まで以上にやっていいことといけないこととの区別を自らきちんと判断しなければならなくなったと思うのです。
やればできることでも、あえてやらないという決断もまた大事な選択肢の一つとなるのです。
これは全て、人間一人一人の倫理観に委ねられる問題です。
思えば、公害からバブル崩壊まで、私たちの歴史は「獲得」と「喪失」を繰り返してきました。
ならば、本当に私たちにとって手に入れるべき、そして失ってはならない大切なものとはなんなのでしょうか。
その答えの一つは、この久我山で学んだ、そして学んでいることの中に隠れているのかもしれません。
最後に、高校3年生に向けて・・・
最も無責任な言葉であることは百も承知の上で、
あえて
『がんばれ!』と・・・」
なお、終業にあたり、この学期中に行われた高校「読書感想文コンクール」〔優秀作:該当者なし・佳作:3名(各学年から1名ずつ)・特別賞:該当者なし〕や「書道コンクール」、「英作文コンテスト」、「創作コンテスト」などの各種の表彰に加え、9月に実施された「久我山祭」の受賞団体(※)の披露も同時に行われました。
※ 久我山祭 各賞
*久我山大賞 (該当団体なし)
*優秀賞 8団体
・高校男子1の1 「バザー」
…逆転の発想で、かつて恒例だったバザーを久々に企画し活況を呈していた。
・高校女子1の2 「久我山生(仮)」
…異色な体験型企画で来場者の関心を大いに集めていた。
・中学2年男子 「自然体験教室 尾瀬」
…とても丁寧な準備をしていたことがうかがわれる展示であった。
・中学2年女子 「職業調べ」
…職場訪問での丁寧な取材と「働くということ」のプレゼンも立派であった。
・高校女子2の2 「もなか小町」
…テーマに則した装飾が来場者の注目を浴びていた。
・パソコン部
…手の込んだ企画もあり、入場者の関心を集めていた。
・書道部
…力作ぞろいでとても見応えがあった。
・中高ダンス部
…テーマに沿った企画で創作ダンスの深みをいかんなく発揮していた。
*奨励賞
・社会科 修学論文研究発表会
…興味深い発表で各発表者の努力の跡がうかがわれた。
・国際教育推進委員会
…「英字新聞」の作成過程など興味深い展示が多く見られた。
・サッカー部
…今年も子どもに人気を博していた。担当した部員たちの対応にも好感が持てた。
・野球部
…新規参入で、サッカー部と人気を二分。たいへん工夫した企画もあった。