10年近くにおよぶ赴任先の北海道から東京に仕事場を移して迎えた、2011年の「3.11」(東日本大震災)。
氏にとって、アナウンサーとしての仕事の在り方について、大きな転換点となったとのこと。
それまでというもの、視聴者が極力パニックに陥らぬよう冷静沈着なアナウンスを心がけてきたものの、そのことがかえって迫りくる危機的状況を十分に伝えきれずにいたのではないか。そうした痛恨の極みともいうべき反省を通して、あらためて求められる理想の「放送」のあり方とは、また「アナウンサー」としての「使命」はなんなのか、ひいては「思いを伝える」ことの大切さと、その実現のために不可欠なことはなんなのか等々。
自ら赴き取材しての貴重な「現場」から得た数々の体験談は、多くの示唆に富んでいました。
以下、印象に残ったお言葉から。
■ 高校生のころに抱いた夢はいつまでも大切に
■ 他人からそんなことと言われようともとことん貫け
■ 信頼関係を築かなければ取材はかなわず
■ 自然を感じる力(感性)を養え
■ ときに目をつむり耳をすまして感じよ
■ 心に残る記憶を
「目を閉じて 感じてごらんなさい」
@ top of the Mt.Takao 9.28
〔講演後の質疑応答より〕
Q:アナウンサー以外の仕事も「命を守る」ことにつながっていると思いますが、
「伝わる力」はどうすれば発揮できますか?
A:どんな仕事でも、自分自身がその仕事におもしろがって取り組んでいるか
どうかにかかってくると思います。
Q:滑舌が悪くても思いは伝わりますか?
A:心配ありません、大丈夫です。
ほら、こうしてあなたの気持ちはしっかりとわたしに伝わっていますよ。
Q:災害などの現場で命の危険を感じるようなリポートが中継されることがありますが。
A:報道の演出過剰は慎まねばなりません。
あくまで身の安全を確保したうえで、しっかりと伝えることが望まれます。