外部講師をお招きしての講演は今年3回目になります。
今回は 「礼法」について、聖徳大学附属中学校高等学校の
松本博之先生にお話をいただきました。
先生は、学生時代に小笠原惣領家三十二代小笠原流礼法前宗家の小笠原忠統先生に出会ったことがきっかけで、本格的に礼法を学びはじめたとのこと。
さらに講道館柔道弐段の腕前をもち、学芸員・社会教育主事の資格に加え、全日本博物館学会会員でもいらっしゃいます。
お話は、初めて小笠原先生のもとを訪問した際、出されたお茶を片手で受け取ってしまった苦いエピソードにはじまり、相手を大切にする「心」をきちんと「形」に表現することの「美しさ」について、生活上のさまざまな場面に即して解説が加えられました。
◆小笠原流礼法とは
小笠原流とは、大きく分けて「弓道」・「馬術」と南北朝から室町にかけて成立した「礼法」からなるものです。
◆誰に対する「礼儀」か
「礼儀」は決して「目上」の人に対するものとは限りません。かえって、小笠原流では、弱い立場の人に対しての心遣いを求めています。それというのも「武士」としての心得に由来するからなのです。
◆「自分」のためではなくあくまで「相手」を大切に
電車やバスの車内にて、ここで席を譲ればおそらく自分はいい人に思われるだろうと思ってする行為というものは、単なる「形」だけの「礼儀」です。大切なのは「自分」のことより「相手」の身になって考え、行動に移すことができるかです。
◆訪問先の玄関にて
相手が「ようこそいらっしゃいました」という気持ちをもって掃除や花を生けるなどして迎え入れてくださっているのに、こちらが塵埃にまみれた「コート」や「マフラー」、さらに「手袋」などをしたまま玄関内に入るのは失礼極まりないことです。厳に慎まねばなりません。
また、履き物は揃えて向きを直しつつも、主人にお尻を向けた格好で後ろ向きに上がるのはこれまた失礼です。できれば、相手がいるのと反対側の足から上がるようにもしたいものです。
・・・その他、「ペン」・「メガネ」・「ナイフやハサミ」・「本やノート」などの渡し方については、実際に代表生徒とやりとりしながらの実演も披露されました。
先生は最後に、そのいずれの行為も「さりげない」ものでなければならないとし、理想は相手に気づかれずになされるものでありたいし、まちがっても相手に見返りを期待したり求めたりするようなことは言語道断であると力説されていました。