室町時代にみられた書院造りという環境もてつだって生まれたとされる「生け花」の世界。
今日は、女子部の特別講座として高校からの入学生である1年生を対象に「華道」実習が行われました。
四季折々の草花に生き生きとした命を吹き込みつつ、活ける行為を通じて自然の有難さに対する感謝と畏敬の念をも実感することのできる「華道」実習。
今日の型は、「たてるかたち」。
その花材は、ラークスパー(和名:飛燕草)を主枝に据え、脇役の客枝には赤い薔薇を配し、緑の濃淡がほどよく調和した両者の葉が足元を固めていきます。
まずは、師範の先生による丁寧な解説とともにデモンストレーションが披露されたのち、いよいよ一人一人が花に面と向かうことになりましたが…
聞くと実際にやってみるのとは大きな違いがあるものです。
3本の中から、もっともふさわしい主枝を選ぶことも、剣山隠しの役割を担った客枝の角度を決めることも、さらには主枝を生かすも殺すもその生け方にかかってくる中間枝をひかえめな長さに思い切りよく鋏をいれることも、いざやろうとすると、なかなか踏ん切りがつかないようでした。
それでも、時間をかけて、花をぐるりと回してみたり、いったん剣山に差し入れてからその根元を添え茎でさりげなく補強したりしながら、全員なんとか「かたち」にすることができました。
こうして、一連の活ける行為を傍から眺めていると、完成にむけてのプロセスにおいて、目の前の花や草と無言のうちに対話を重ねているように感じたのはわたくしだけでありましょうか。
くわえて、出来のよしあしはいざ知らず、花器の上であらためて命を吹き込まれた花たちが、その美しさをもって生徒たちに感謝の気持ちをあらわしているようにも思われてなりませんでした。
そんなこともあってか、「かたち」をととのえるために、やむなく切り落とした茎のなかにまだつぼみのついたものがあり、それを拾い集めて新聞紙に包み、大切に持ち帰ろうとしている生徒がいたのがとても印象的でした。
そのすがたを、師範の先生が特別に活けてくださった「花菖蒲」や「紫陽花」、そしていまだつぼんだままの「杜若」の花々がそっとやさしく見守っていました。