先週末、池袋の東京芸術劇場内の展示ギャラリーにて行われていた「第28回東京都高等学校文化連盟 書道展」に出かけてきました。
今年は、書道部員6名が出品、うち鈴木祈愛さん(2年)の作品が「会長奨励賞」を受賞していました。
その大作がこちら…
日本にも馴染みの深い白楽天の詩集から「西湖のほとりの情景」をうたい上げた次の一節を創作したもの…
白氏文集巻二十 西湖晩帰回望孤山寺贈諸客
柳湖松島蓮花寺 柳湖(りゅうこ)松島(しょうとう)の蓮花寺(れんげじ)
晩動帰橈出道場 晩に帰橈(きとう)を動かして道場を出づ
盧橘子低山雨重 盧橘(ろきつ)子(み)低(た)れて山雨重く
栟櫚葉戦水風涼 栟櫚(へいりょ)葉戦(そよ)ぎて水風涼し
煙波澹蕩揺空碧 煙波(えんぱ)澹蕩(たんとう)として空碧(くうへき)を揺(うご)かし
楼殿参差倚夕陽 楼殿参差(しんし)として夕陽(せきよう)に倚(よ)る
…山に雨が降って橘の実は重く垂れる。
湖水を渡る風が吹くと棕櫚の葉がそよいで涼しい…
この頷連(第三・四句)だけは『和漢朗詠集』にも採られており、雨に洗われた水墨画にあえて色を施したような情景が浮かんでくる、やわらかな筆遣いとなっています。
その他の部員の作品も、一字を大書したものなど、それぞれに個性的な力作が並んでいました。
また、会場内には恒例となったハガキ大の小作品が展示されたコーナーもあり、大作とはまた一風異なる魅力をもって目を楽しませてくれました。
その中で、見事第2位を獲得したのが…
…なんと、本校の3年生、浅田ひなのさんの作品!
墨香にさそわれて会場にきてみれば、こうして若い「書家」たちのすばらしい息遣いとの思いがけない「出逢い」がそこにはありました。