「…『たてるかたち』とはいえ、直立ですと見た目も威張ってふんぞり返ったようにみえてしまいますので、こころもち手前にお辞儀するよう傾けるぐらいがちょうどいいと思います。…」
まずは、剣山の中心にアヤメ科のグラジオラスが据えられました。
「…葉は袋に入っていると中でつぶれてしまっている場合が多いですから、活ける前にもともとあったであろう姿にもどしてあげるようにふくらみをもたせてあげましょう。…」
こうして、季節の色を放つスプレー菊が、ボリュームを増した葉の緑を背景にひきしまっていきます。
その後も、尾花(おばな)や竜胆(りんどう)といった、秋の草花をふんだんに使って季節を表現していました。
そんな折、ちょうど窓外に目をやると…
こちらもまた、色とりどりのコスモスが風にゆれながら天に向かって大きく背伸びをしているところでした。