講師 竹内 昭氏
〈プロフィール(久我山祭パンフレットより)〉
1947年新潟県生まれ。公立都留文科大学卒業後、1971年に(株)京成百貨店入社。1980年に、(株)オリエンタルランドに入社し、商品部、人事部、運営部を経て、1997年にグループである(株)舞浜リゾートラインの代表取締役社長、2006年には同じく(株)オーエルシー・キッチンテクノの代表取締役を歴任。退職後、キャリア教育センターを立ち上げ、東京ディズニーランドオープン前から30年以上にわたる経験で培ったサービスや顧客満足度を高めるためのノウハウ、知識を伝えることで社会に貢献する、という使命をもって全国各地で講演活動を精力的におこなっている。現在は株式会社シンコー警備保障代表取締役を務める。
一匹の「ミッキーマウス」が今や7兆円の収益をあげるまでに。また、わずか3人だけで始めた事業が3万人もの社員を有するまでになった「ディズニー」リゾート。
あのワールドに絶えることのない笑顔の陰にはどんな秘密が隠されているのか。
ご自身の貴重な経験をふまえた成功のノウハウを通して、これから社会の担い手となる高校3年生に対して、「チャレンジ」する気持ちが何をおいても大切であることを強調されていました。
以下、印象に残ったお言葉より…
■ 東京ディズニーランドの成功の要因
…ひとことでいえば「天地人」。つまりはそれを為す時機(タイミング)の「天」と適した場所の「地」。それに加えてやはり優れた「人」の存在は外せません。その昔、かのウォルトが娘を遊園地に連れて行った際、そのあまりの汚さに閉口し、この時の経験がもとになって親子がいっしょに楽しめる「世界」を創り出そうとしたことがそもそものきっかけとなっているのです。
■ 質と安全(その1)
…8時のオープンに向けて5時からの試運転。さらに22時にクローズしてからは夜通しかけて清掃をはじめとする準備に余念がありません。「たとえばこどもが床にお菓子を落としても食べることができるぐらいトイレをきれいに!」といった目標や、一つ一つの便器に名前をつけることで親しみをもって語りかけるようにして磨きつづけた従業員のエピソードなどは、まさに自分の仕事への誇りなくして実現は難しいでしょう。
■ 質と安全(その2)
…たとえば、雨の日にもベンチをかかさず拭いているのはなぜだかわかりますか?それは、お客様が腰を下ろす面を拭くことで、ベンチの脚を固定しているビスが緩み飛び出していないかを確認するためなのです。こうして雨の日の雑巾がけは一見無駄のように思われますが、こんなところにもお客様の目線に立った取り組みが潜んでいたのです。
■ わたしが「ディズニー」の仕事から学んだこと
○ 当面今やっていることが必ず将来につながっている。
○ 勉強してもうまくいかないことはあるが、勉強しないでうまくいった人はいない。
○ ネバーギブアップ、できるまでやりつづけること
○ お客様には「納得」以上「満足」以上、「感動」を与えられるように努める。
○ 社会に出てからの勉強の方が長い。ゆえに健康であることとよりよい人間関係を築くこと。
○ 自分の考えをしっかりともつこと
○ 天命に従いつつ自分の適性を見極める。
○ 可能性を広げるためにも自分自身を大切に。
○ 自分の側から働きかけて、一歩前へ踏み出すこと。
■ 講演後の「質疑応答」より
Q1 常に新しいアトラクションが生まれていますが…
A1 お客様の声に耳を傾けて不人気なものは思い切って壊して新たなものを創り出すようにしています。お客様を飽きさせないことが「あきない」だと思います。そうした意味からも、あのディズニーランドは永遠に完成をみないのではないでしょうか。
Q2 海外のそれと比べて「東京」のディズニーランドの魅力は。
A2 日本人の繊細さ、きめの細かさが各所にみられるところでは。
Q3 竹内さんこれからの夢は。
A3 現在68歳ですが、80歳までに年間200冊のペースで本を読むことと、さらに英語力に磨きをかけることかな。
Q4 お客様を飽きさせないために不可欠なことは。
A4 ずばり「不易流行」の精神です。
Q5 失敗した人はどうしたらいいのですか。
A5 世の中、失敗しない人はいません。その失敗は必ず次への糧となるチャンスととらえてください。どうか失敗を恐れずチャレンジを!