南庭の紅梅も日に日につぼみがふくらみ、花開く時が近づきつつあることを教えています。
高校3年生たちの大学入試も、今まさにその山場をむかえ正念場となりました。
そんな先輩たちからほどなくして襷を渡されることになる高校2年生たち。
進級を目前にひかえ、大学受験に対する意識と意欲の高揚を目指して、卒業生たちによる「現役合格体験談」を聞く機会をもちました。
このたび、この趣旨に賛同して集まってくれた昨春の卒業生は、東大・一橋・東工大といった国公立大学、さらに早慶といった難関私大、また医学部に進学した者など、あわせて十四名。
それぞれの志望に合わせた七会場に分かれ、最も身近な「先輩」としてその貴重な体験を語ってもらいました。
ややもすると、こうした機会に語られるのは、受験そのものに向けた効率的・合理的な方法論といった、いわゆる受験テクニックにその中心がおかれるものですが、受験勉強を通じて、あくまで深淵なる学問を追究する姿勢がなにより大切であることを強調して訴える卒業生がいたことは実にたのもしく、その姿はまぶしいものでした。
◆ 志望動機と目標設定 ~(男女)「医学部」志望の部屋にて~
…幼いころ、病弱だった自分を励まし救ってくれたお医者さん。その献身的な姿に強く心ひかれました。そのことが医師を志すなによりのきっかけとなりました。
…医学をさらに深く研究するなら国公立、医師そのものになることを優先するなら私立もまたよし、さらに女性でも自信をもって働ける場であることを考えて医学部を選択しました。
…高倍率の医学部入試では、他の学系以上により「一問」、「一点」の重みが大きなものとなります。なにしろ「一点」のなかには何十人、何百人もいるのですから。
◆ 時間とモチベーション ~(女子)「国公立大学」・「文科系」志望の部屋にて~
…運動部に所属して現役で活動していたころ、やはり勉強との両立には悩まされました。しかし、不思議なことに、現役をしりぞき、受験勉強に本腰を入れて取り組むことができるようになってからの方が、自分自身で計画的に時間をプログラミングしなければならなくなり、かえって苦労しました。
要するに、勉強も部活動と同じように、自分自身でどれだけ主体的に取り組めるかが大切なのです。
◆学問と受験勉強 ~(男子)「国公立大学」・「理科系」志望の部屋にて~
…問題集に書かれた、わずか一行、ほんの一言の、たとえば法則というものが、どれだけ多くの科学者たちによって、しかも気の遠くなるような歳月の積み重ねのなかで発見・発明されてきたものであるかをあらためて知っていただきたいと思います。
そうしたあたりまえに思っている「科学的事実」を、わずかこれから一年間の受験勉強でマスターすることなど到底無理なことです。
加えて、「入試」は所詮「点取りゲーム」のようなもの。
ならば、今のうちからいかにして効率よく「点」をとるかに没頭するのでなく、できれば、高校3年の夏ぐらいまでは、どんなに時間がかかってもそうした「科学的事実」の奥深さに対して、自分の頭で考え抜く姿勢を貫いてほしいと思うのです。