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9/27 久我山祭講演会〈メディアの仕事で私がこだわっていること〉佐古忠彦氏(TBSテレビ報道局キャスター).

投稿日2014/10/7

 
 
久我山祭の機会をとらえて例年実施されている高校三年生対象《講演会》
今年は、本校OBで現役のニュースキャスターとして活躍中の佐古忠彦氏(TBSテレビ報道局キャスター)。
 
 「メディア」が果たす「役割」とはなにか。
 「現代人」に求められている「姿勢」とはなにか。
  …………
 
数々の「現場」での体験から得た生きた教訓を、具体的なエピソードを織り交ぜながら、冷静にそれでいて芯のあるたしかな信念に基づいたブレのない語りが80分間展開されました。
今は、「受験勉強」という、なりふり構わず目的的な時間を過ごさざるを得ない高校三年生にとって、その先に広がる人生行路における「転ばぬ先の杖」をあえてこの時期にあらかじめ示していただいたことはたいへん意味のあることでした。いきおい「問題演習」に終始するばかりのふだんの「授業」では決して味わうことのできない貴重な示唆に富んだ「特別講義」となりました。

 
以下、その概要をお伝えいたします。
 
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◆10年ぶりの母校訪問
…先日、局内の歯医者さんにかかりましたら、その先生から声をかけられました。「私も実は〈久我山〉出身なんです」と。
学校というところは、在学中というのはそのありがたみがわからないものかもしれません。卒業してからしだいに愛着がわいてくるものなのでしょう。
 
◆「実況」アナから「フィールドキャスター」へ
…スポーツの実況からスタートしたものの、数々の失敗を重ね、その後、報道の世界へ移り常に「現場」へ足を運ぶ「フィールドキャスター」として経験を積みました。当時は、いつも「パスポート」と「着替え」を常備して飛び回っていました。
 
◆筑紫哲也さんとの出会い
…『ニュース23』という番組を通して、筑紫哲也さんにお世話になりました。あの方は決して「ああせい、こうせい」というようなことはなく、ただただその背中を見て学ぶことが多い毎日でした。
 
◆政治報道とは「権力」のチェック
…報道にとって大切なのはまず「好奇心」をもって取材をすることです。そして、表のみならず「裏(off)」取材(背景)も本音を掴むために不可欠なものとなります。そして、私が今も報道に際してもっとも心がけていることは、「早く」「正確に」「詳しく」。こうして政治における「権力」の行方を日々チェックしているのです。
 
◆〈自由の気風
…福沢諭吉の唱えた「自由の気風」は、「多事争論」の中に育まれます。それは、反対や少数意見の中にこそ見出されるものなのです。そうした議論のない世界には、本当の自由など存在しないのです。
 
◆メディアの役割とは
…いかなるメディアであれ、その究極の役割は、戦争をさせないことであり、過去のあやまちを繰り返さないことにほかなりません。にもかかわらず、あの「9.11」の4日後にNYへいった際、そこに目にしたのは街中にひるがえる星条旗であり、同時に耳にしたのは、アナウンサーが連呼する「報復」の二文字でした。こうして世の中が「一色」に染まることは本当にコワイことです。
 
◆「少数派」であることを恐れるな
…言論の多様性が、最近封印されているように感じることがあります。たとえ、自分の意見が「少数派」であったとしても決してひるむことなく主張する姿勢を大切にしていかねばなりません。そのことを強く肝に銘じさせられたのは、先の戦争で唯一の地上戦が繰り広げられた「沖縄」の歴史にふれたことが大きかったと思います。「軍隊は人を守らない」という思いを刻みつけた沖縄の民衆の声は少数かもしれませんが、この国への不信感を表明して余りあります。こうした沖縄の人々のたどってきた辛い歴史を思えば、少数派や(社会的)弱者に寄り添うことが肝要であり、決して権力に媚びてはならないのです。
 
◆組織と個の関係
…戦争終結を告げる玉音放送の後に飛び立った特攻隊員の話を『生きろ』というドキュメンタリー番組にまとめたことがあります。自分自身は死ぬ覚悟で、部下を生かすことに努めた隊員の生き様は、同時にこの国を救ったともいえましょう。時に組織に従わなければならない場面に遭遇したとしても、個として何ができるかを考えることは大切です。これからはそうした組織の中で個を生かす時代に入っています。
 
◆たくましく、しなやかに
…先の戦争を語る貴重な証言者が次第に少なくなってきました。それは、「戦後社会」の終焉をも意味します。と同時に新たな時代が拓かれているともいえるのです。そこで大切になってくるのは、多様性を認めるということでしょう。たくましく、それでいてしなやかに互いの違いを認め合うことができたなら…。皆さんには、そうした価値観をもって新しい社会の担い手となってほしいのです。
「どんな道も はじまりは道のない大地…」 私が好きな歌詞の一節です。
 
 
◇「質疑応答」より
・世論がどうあろうとも、メディアの使命として戦争への道を絶たねばなりません。
・メディアリテラシーを養うには、多くのことにふれて目を養い自分自身の価値を高めていくことが先決です。
 
 

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