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「闘う男」@高校1年〈弁論大会〉.

投稿日2014/2/25

 
昨日、5・6時間目を使って恒例となった高校1年〈弁論大会〉が実施されました。
 
各クラスでの予選を勝ち抜いた代表者12名による本選は、身近な生活上の話題から、哲学、文化伝統、自然科学、そして現代社会が抱える問題に至るまで、多岐にわたるテーマにしたがって、その弁舌の優劣を競い合いました。  
 
ここでは、満場一致で「第一席」に輝いた、山本研君の発表原稿を掲載し、少しでもその場の雰囲気をお伝えできればと思います。(本人の承諾を得て、写真・氏名を公開いたしました)
 
 
 
   闘う男      山本 研 (五組)
 
 まず始めにみなさんに質問です。みなさんには何か熱心に打ち込んでいるものがありますか。あるとしたらそれを途中で投げ出そうと思ったことはありませんか。…
 さて、僕はサッカー部に所属しています。四歳の頃から今に至るまでサッカーを続けてきました。サッカーを始めた理由は兄がやっていたということもあります。はじめのうちはただボールを追いかけ、相手と戦うことが楽しくてやってきました。しかし、中学一年生の時、疑問に思い始めました。
 「何故、僕はサッカーをしているのだろう。別にサッカーをしていなくても十分に生きていくことができるし、遠い所まで試合に行くのも大変だ。下手なプレーをしたらコーチに怒られるし…」
 そう思ったにもかかわらず、僕は今日までサッカーを続けています。これからも生涯サッカーから離れることはないでしょう。何故か…それは、一人の闘う男の姿を見たからです。
 ちょうどサッカーを続けていることに疑問を持っていた頃のことです。四年に一度のW杯が南アフリカで行われました。そこにはカメルーン代表のエトーという選手が出場していました。彼は相手と戦うと同時にもっと大きな敵と闘っていました。それは、「人種差別」です。
 エトー選手はカメルーンの中でも特に貧しい地域で生まれました。幼い頃にサッカーと出会い、努力して十六歳の時にスペインでプロになります。活躍が認められ、二十三歳でスペインの強豪バルセロナでプレーすることになりました。彼はFWとして何度も相手のゴールネットを揺らしました。
 ある日、事件が起こります。彼の所属しているバルセロナは、アウェーで試合をしていました。試合は何事もなく進んでいました。突然、審判が笛を吹いて試合を止めました。エトー選手が観客に向かって大きな声で何かを叫んでいたからです。試合が止まってからもなお、叫んでいました。彼は何故、そのような行為をしたのでしょうか。
 なんと、この時、相手チームのサポーターがエトー選手に向けて、猿の鳴き真似をしていたのです。彼は黒人選手でした。「お前は猿と同じだ」そういった意味で彼を、彼の肌の色を侮辱したのです。エトー選手は試合から抜けようとしました。彼は後にこう語っています。
 「黒人の才能を“猿”がゆえに認めたくないのであれば、おれは試合から抜けたいと思った。」
 エトー選手が試合から抜けようとしたその時、相手チームの黒人選手が近寄ってきて言いました。
 「お前にこの人種差別の状況を変えてほしいんだ。白人を罵るのではなく、ゴールを決めることで彼らより黒人選手の方が強いことを証明してくれ。」
 彼はこの言葉で思い直しました。フィールドに残り、闘うことを決めました。そして、その直後に味方のゴールをアシストし、さらに次の試合では、ゴールを決めたのです。その後は、ゴールを決め続け、今では世界中に名前が知れ渡っています。黒人選手の力を証明し続けているのです。
 僕はこのエトー選手の生き様に感動しました。サッカーというスポーツには、人の心を動かす力があることに気付かされました。
 世の中には、多くの問題があります。エトー選手が闘った人種差別であったり、紛争であったり。僕はそういった多くの問題を解決する力がサッカーには、スポーツにはあると確信しています。
 また、人種差別や戦争、そういった大きな問題だけではありません。何かこう、やりきれないような雰囲気が漂っている今の日本。ギスギスした人間関係。朝の満員電車では、いがみ合っている大人達。
 僕は彼らをサッカーで笑顔にしたい、僕のプレーで少しでも多くの人に感動を与えたい、そう思っています。それができることはエトー選手が証明してくれています。
 最後に、僕はこう思います。全ての人がサッカーや、スポーツでなくてもいい。何らかの形で自分の隣にいる人を笑顔にさせよう、そういう心があれば自然と人種差別や戦争はなくなるはずだということです。僕はそう信じてサッカーで闘いつづけます。

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