兵庫橋を渡って、まもなく正門というあたり。ご近所の軒先を見上げてみれば…。
「木守り」柿、ひとつ。
鳥たちにその恵みを分かつためか、それとも天の恵みそのものへの感謝か報恩か。
毎年、この時期になると見られる通学路の風景です。
残 果 三好達治
友らみな梢を謝して
市にはこばれ売られしが
ひとりかしこに残りしを
木守りといふ
蒼天のふかきにありて
紅の色冴えわたり
肱張りて枯れし柿の木
痩龍に睛を点ず
木守りは
木を守るなり
鴉のとりも鵯どりも
尊みてついばまずけり
みぞれ待ち雪のふる待ち
かくてほろぶる日をまつか
知らずただしは
寒風に今日を誇るか
「残果」の孤独に耐えつつも、その使命を果たさんとするプライドまで感じさせるたのもしき「木守り」の姿。
その木の下を、脇目もふらず走りゆく遅刻ギリギリの生徒に、静かなエールを送っているようにも見えました。(笑)
学びの場は、校内ばかりではないようです。