深田久弥は『日本百名山』の選定にあたり、次の要件すべてを満たしていることをもってその候補としたといわれています。
まず、「個性」。
他の山にはない、その山固有の何かを備えていること。
次に、「歴史」。
そこに暮らす人々の生活と深く結びついた山であること。
そして、「品格」。
だれが見ても、立派だと感嘆するような存在であること。
日光といえば、「華厳の滝」とあわせて名高いのは「男体山」。それに比べ、「奥白根山」は群馬県側からも、反対の戦場ヶ原からも、なかなかその全容を拝むことができません。
まさに、その名が示す通り、奥座敷に鎮まる存在なのです。それゆえ、「百名山」のなかでもひときわ異彩を放つ一座といえましょう。
今回、残念ながら山頂アタックはかないませんでした。
がしかし、容易にその頂に立つことができなかったことで、かえって「奥白根」が「百名山」であることの所以をより実感することにつながったのではないでしょうか。
山は逃げません。またの機会に。