在来種の「たんぽぽ」 (南庭裏手にて)
この時期、決まって校内の各所でその眩しいまでの黄色い花弁を見かけるようになる草花に「タンポポ」があります。
本館前の広大な前庭をはじめ、西2号館に面した南庭の植え込み、さらに外周のわずかなコンクリートの割れ目から顔をのぞかせているものも。
みな一様にたくましく感じられるそれらも、実のところ大別して在来種と外来種の2種類があることをご存知でしょうか。
年間通じてこの時期にしか開花しないとされる在来種の日本「たんぽぽ」。
一方、季節を問わず年中花をつける外来種の西洋「TANPOPO」。
外来種の「TANPOPO」 (牟礼門脇にて)
一見、同じように見える「タンポポ」ですが、それぞれに子孫を残す涙ぐましい工夫の結果として、開花のタイミングや根付く場所に違いをもたらしているようです。
そうしたなか、幸いにも圧倒的に数を減じてきているといわれている「たんぽぽ」が人目につかないようにひっそりと咲いているのを、倉庫の裏手に見出しました。
一方、目を転じてみれば、ひっきりなしに生徒たちの出入りする通用門の傍らにて、群れなすように「TANPOPO」の見慣れた姿がありました。
「生物的な=biological」と「多様性=diversity」を組み合わせて作られた「生物多様性=Biodiversity」という言葉が、さかんに聞かれるようになって久しいですが、この「多様性」とは、ただ生きものの数や種数が多ければいいというものではないことはもちろん、その個体差の優劣を競うものでは決してありますまい。
ここにいう「多様性」とは、全ての個体がこの地球上にかろうじて存在していること、そのこと自体に大きな価値があるということを、このたびの2種類の「タンポポ」があらためて教えてくれたような気がします。
…ところで皆さんは、この「日本」と「西洋」の「タンポポ」、見分けることができますか? (ヒント:花の基部の総苞にご注目を!)
…こちらは「在来種」の「たんぽぽ」でしょう…