臨時休校が長く続いてきたことでかえって、現在、本館校舎の前庭には、思い思いの草花が芝の間から姿を現してくれています。
検温や手洗いといったものものしい仮設テントの傍らで、ひときわ色鮮やかな小花の「庭石菖」(ニワゼキショウ)が群れをなしていました。
か細い茎の先に、赤紫色した六枚の花弁が日の光を求めてしっかりと頭をもたげています。
ただし、朝顔などと同じく、この「庭石菖」もまた次々に咲いてはリレーしてゆく「一日花」とのこと。
したがって、今日目にした花そのものにふたたび出逢うことは出来ません。
そうした「一日花」の宿命とはいえ、人知れず今日という日に全てをかけて、精一杯に生きるその健気な姿にあらためて心打たれるものがありました。
その花言葉は、「繁栄」。
なるほど、私たちの営む社会もまた、こうした常ならざる事態を通じて、その先にて確かな「繁栄」を手に入れるためにも、焦らず気負わず、今は一人一人がひたむきに今日という一日を懸命に生きることの積み重ねに如かず、といったところでしょうか。