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「少年の心」 〜〈臨時休校中の皆さんへ〉生活指導部からのメッセージ より〜.

投稿日2020/3/6


 
「臨時休校中の皆さんへ」と題した生活指導部からのメッセージ(約10分間)をお届けいたします。
  
 ※ 「臨時休校中の皆さんへ」 生活指導部 より

 


 
 『如己堂随想』 永井 隆 より
 
…少年は――しよう!としか思わない。朝床にすずめの聲をきけば、よし今日は晴だぞ、野球をしよう、と思い樂しみ、とび起きる。雨が軒びさしをうつ音がひびいておれば、しめた、うなぎが釣れるぞと、胸おどらせて布團をはねのける。どんな條件の下でも、いつも今日のこれからの番組に大きな期待をかけて、あれをしよう、これをしようと、絶えずうれしい。うれしいから仕事もすべてすらすら出來る。――この少年の心を一生持ち續けたら、どんな樂しい人生となるだろう?――
  (中略)
 一句を作らんとする樂しい情熱――それを一日中の仕事にまでおしひろめてゆけば、どんなに樂しいだろう。仕事場がどんなにうれしさに充ちてくるだろう。教室がどんなに樂しくなるだろう――
 生活の俳句ということをよく云われる。しかし俳句の生活という處まで進みたいものではなかろうか?――俳句をつくることによつて生計を立てるのではない。がちやがちやした工場や、ぴちぴちした漁船の上や、ごみごみした小賣店の日常二十四時間の生活そのものを俳句を作るときと同じ、眞劍な氣持で、觀察し、美を見出し、賛嘆し、創作し、批判してゆくのである。
 ――私は今ようやく、そんな境地に達した。いや少年の心に立歸ることが出來た。一日の生活、それは六尺の寝床から一足も出られぬ生活ではあるが、それが實に樂しい。「してはならぬ」の網にしばられず。「せねばならぬ」の鞭に打たれず。ただもう中から、底からあれをしよう、これをしようと勇みに勇んで仕事をしているから……

 

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