標高1400mに広がる「尾瀬ヶ原」。
さらなる雲上の楽園「アヤメ平」。
そのいずれも、かつて開発か自然保護かといったせめぎ合いの舞台となった場所でした。
今となっては、そんな苦い過去を感じさせないほど大自然に囲まれたように見えるこの地も、野生動物や高山植物など、稀有にして繊細なバランスで成り立っているそれらの生態系に危機的な状況が近づいているという現状も見逃すことができません。
復活を願ってアヤメ平にめぐらされている高山植物の苗床。
訪問者たちの安全と湿原そのものの保護を目しての木道のつけかえ工事。
そして、富に目立ってきた熊の出没に対する警告板の存在等々。
今日一日だけでも目の当たりにすることのできたこれら尾瀬の現実を通じて、彼らは何を感じたのでしょうか。
ともあれ、次々に現れ出る池塘には、可憐なヒツジグサやオゼコウホネなど、下界では決してお目にかかれないような高山植物を愛でる幸運にも恵まれた一日でした。